相続放棄と空家問題
2024/08/02
今回は近年の相続放棄と空家問題について解説していきます。
近年相続放棄は増加傾向にあり、司法統計では相続放棄申述の受理数が2022年のデータで約26万件と過去最高を記録しました。相続人の債務超過のために相続放棄をするケースだけでなく、地方の空家や山林等の価値のない「負動産」を相続したくないために相続放棄を選択している傾向が強いです。
地元の親から離れて暮らしていた子供世代が相続によって地方の空家や土地を相続したとしても、それが負債としてのしかかるケースが多々あります。地方の過疎化が進む中でこうした不動産にはなかなか買い手がつかず、維持費や固定資産税の負担や手間だけが年々発生します。こうした事態を避けるためにプラスの財産の相続も共に放棄したとしても相続放棄を選択するのです。
こうして放置された家屋や土地への対策が近年大きな課題となっています。空家や家屋が放置されたままでいると治安悪化や倒壊リスク、ごみの不法投棄問題などの様々な問題の温床になりかねません。課題解決に向けて行政が対策に動きだしています。また、民間の空家専門の不動産業者が活動しています。
空家問題は少子高齢化・人口の一極集中の結果として起こってしまった事態ですが、それが今後どうなっていくかは注視が必要でしょう。