民事信託と遺言の違い
2024/10/15
今回は「民事信託と遺言の違い」ついて解説していきます。
一番大きな違いは生前にも影響を及ぼせるかどうかです。民事信託は生前の財産管理にも影響を及ぼせる一方で、遺言は死後にしか効力を発揮しないので生前に関することには対応ができません。
後継ぎ遺贈に関しては、民事信託であれば、跡継ぎ遺贈型受益者連続信託の活用により、2代あるいは3代先をも見据えた長期的な財産承継ができます。一方、民法上の遺言制度の限界として、財産の承継先として決められるのは1代のみです。そのため、家族のためにも先々を見越した仕組みを準備できるのは民事信託になります。
ただし、対象財産については遺言が圧倒的に有利です。遺言では基本的に全ての種類の財産について指定をすることができます。民事信託は年金や農地は不可といったように制限があります。
また、普及度も遺言の方が高いため、認知度の面から見た取り組むハードルとしては低いです。民事信託は家族にこのスキームを知ってもらい、理解させ、実行していく…そうした大変さもひとつネックになります。