数次相続対策としての家族信託
2024/04/19
今回は数次相続対策(受益者連続型)としての家族信託について解説していきます。
昔と比べ、現代の家族環境は多様化しています。すでに認知症の配偶者がいる、子がいない夫婦、高齢者同士の再婚など、家族を取り巻く環境は大きく様変わりしています。そういった複雑な家族構成には既存の生前対策方法では対応することが難しくなってきています。
資産を多く所有する人ほど自分の資産をどのように相続させたいか、というビジョンを持っているかと思います。民法上、遺言は遺言者である本人の財産の承継先を決めるものであるため、自分が亡き後の後継者の財産まで効力を及ぼすことはできません。
ここで活用できるのが家族信託です。家族信託は契約であるため、撤回できない内容にすれば当初の意思は変更できません。
例えば、認知症の不安のある一人暮らしの父、すでに認知症で施設に入所している母、その両親の息子がいるとします。このケースで家族信託を利用して最初の受益者を父、第二受益者を母、受託者を子にして信託をすることで円滑な資産管理が可能となります。
父が意思決定能力を失ってしまった状態では、それに合わせた自宅の管理や処分、施設への入居手続き等を子が信託契約の目的に沿って行います。そして、父が亡くなった後には、第二受益者の母のために父から母が承継した財産を子が引き続き管理することができます。